2024.10.30
家づくり

リノベーションか新築か?どっちか迷ったときのポイントガイド

人生の半分以上を過ごすことになるのが住まいです。もっと言えば人生の大半を過ごすことになるかもしれません。そう考えると、住まいというものがとても大切なものに思えてきます。

一方で、人生のなかでもっとも高い買い物になるのも住まいです。当然大きな選択になってしまうわけですが、住まいでもリノベーションか新築のどちらにしようかと悩んでしまうこともあるでしょう。

ここでは、住まいを選ぶときにリノベーションか新築か…迷ったときにさまざまな視点から両者の違いを考えて、人生最大の選択の手助けができるように説明していきます。

リノベーションと新築の基本的な違い

リノベーションと新築には基本的な違いがいくつかあります。それぞれの特徴を以下にまとめました。

リノベーション

リノベーションを簡単に説明すると、既存の建物を改修することです。一般的には中古物件の購入がこれにあたりますが、正しくは”中古物件を購入してリノベーションを行う”ということになります。
そのため、既存の建物を部分的あるいは全面的に改修することで、機能やデザインの向上と強度を上げることで長く居住できることを目的としています。

リノベーションのコストの面ですが、中古物件の購入にプラスしてリノベーション費用がかかります。中古物件の購入代金には土地代が含まれており、建物は築年数によって”原価法”に則って価格が決められ、築25年以上になると建物の価格は限りなく0円ということになります。

いずれにせよ、リノベーションによるコスト面は安く抑えようとすればいくらでも安くできますし、こだわりを持って改修することで限りなく高額になることもあります。

新築

新築は、文字どおり新しい建物を建設することです。すなわちゼロから新しい建物を設計・建設します。
コスト面においては、土地代はリノベーションと変わらないにしても、建物についてはゼロからのスタートとなるのでリノベーションと比較して高額になることが大半です。
工期についても、設計から建設までのプロセスが長くなるので、完了までに時間がかかります。一方で顧客の意見を十二分に取り入れ、プロとしての施工側の助言を受け入れながら自由度・満足度が高く、理想に限りなく近い住宅を作ることができます。
設計思想・技術・アイデアなどは日進月歩で進んでおり、新しい素材や資源を活用するので環境への配慮がリノベーションと比較しても格段に大きくなっています。

コスト比較

マイホームを考える場合、その選択肢は多様化しています。昨今では中古住宅を購入してリノベーションを行う選択肢も一般的になってきました。

よく言われていることは、マイホームを購入する場合には”先立つ物もの”が必要だということです。もちろん、お金ということになるのですが、誰にもお金が無尽蔵にあるわけではないので、どこかで妥協点を見つけなくてはいけません。まず、一番に気になる両者のコスト比較を考えると以下のようになります。

費 用 新築 リノベーション
物件 ×
ローン(金利) ×
税制優遇

ローンについては新築のほうが分がよいです。ローンには有担保型・無担保型が有り、リノベーションの多くはリフォームローンが主流になり、多くは無担保型のローンです。新築のほうは自宅に抵当権をつけて借り入れのできる有担保型の住宅ローンを組むので、金利の安い新築のほうが有利です。
金利については、「変動型」「全期間固定型」「固定期間選択型」など、どれを選ぶか悩ましい問題も出てきます。

税制については新築・リノベーションとも、住宅ローン控除を受けることができます。現行制度では、入居年・リノベーション年から10年間、ローン残高の0.7%が所得税額から控除されます。また、控除しきれない分は住民税の一部控除が受けられます。
リノベーションでは、住宅ローン控除の他に、バリアフリー(60万円控除)、「耐震/省エネ/三世代同居対応/長期優良」(62.5万円控除)などがあり、いずれも翌年の所得税から控除されます。

他にも条例などによりリノベーションについて補助金が受給できるケースがあるので各自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
いずれにしても、住宅ローン控除のみの新築と、それ以外に多くの減税・補助金の措置のあるリノベーションのほうが税制においては遙かに有利と言えます。

時間と手間

新築の場合は、更地からのスタートとなるので完成までにかなりの期間がかかります。一方でリノベーションの場合は、土台はそのままからのスタートなので工期は新築と比較して短くなるのが一般的です。

時間 新築 リノベーション
工期

デザインの自由度

デザインの自由度については圧倒的に新築のほうに軍配があがります。これについては新築の最大の魅力といってよく、隠れ家的な3階の屋根裏部屋を作る、あるいは地下室を作るなど、自分の好みに合わせて家を設計することができます。もちろん、動線など専門家の意見を聞くことが大切ですが、多くの部分で自分の願いを叶えることができるのが新築の最大のメリットといえます。
一方で、リノベーションは既存の建物の状態に依存するしかないので、自由度という点では新築にはおよびません。

デザイン 新築 リノベーション
自由度 ×

環境への影響

“SDGs”という言葉を聞いて久しいですが、この”持続可能な開発目標”が取りざたされており、環境への配慮という声が大きくなってきました。

これを新築とリノベーションに当てはめるとどちらが、環境に優しいのかということになります。単純に新築のほうが多くの資材を使います。資材の製造や建設工事の過程で大量のCO2を排出することになります。
リノベーションでは廃材が出ることがありますが、資材の量においては新築比べて少なくなるので、環境に優しいと言えます。
さらに、元の家を取り壊して更地にしてからの新築となると、大量の廃棄物が発生することも考慮しなくてはいけません。

環境 新築 リノベーション
影響 ×

資産価値の向上:リノベーションと新築の効果

リノベーションについては、今ある物件に付加価値をプラスした形となるので、資産価値が上がります。これは経年劣化をリノベーションでカバーできるためです。

新築について考えると、建物の資産価値は25年~継続するとされています。逆に言うと25年を超えると建物の資産価値はゼロになるということです。新築においては10年あるいは15年おきくらいにリフォームをすることになるので、25年~の”~”の部分を伸ばすことになります。

資産価値は建物だけではなく、土地も含まれます。建物は原価法によって、価値が経年によってどんどん下がっていきますが、土地については逆に上がるケースも少なくありません。居住している間に、近くに幹線道路(バイパス)ができた、あるいは学校などの教育機関ができた、さらには病院やスーパーマーケット、ショッピングセンターができたなどで地価が上がることが多くあります。
※再開発計画などで”立ち退き”をせざるを得ないケースもあります。

いずれにしても、資産価値を考える場合、すべてが新しい新築に軍配が上がります。

資産 新築 リノベーション
価値 ×

住み心地については主観的な問題となります。新築(注文住宅)については、動線なども含めて、すべて自分の思いどおりの間取りによる物件が取得できたと考えると、満足度は◎となるでしょう。一方でリノベーションについても、納得のいく上で中古物件を取得し、住みやすいようにさらにリノベーションをすることで満足度を上げることができます。
そして、重要な点を挙げると”住み心地”にプラスして”利便性”を考えた場合はどうでしょうか。利便性を重視して、”駅に近いから”、”病院が近くにあるから”といったことを考えて、それらを加味したうえで近くにある中古物件を取得したとすれば、”住み心地”の中の満足度がかなり上がります。

住み心地 新築 リノベーション
快適性
※ここでは”住み心地”のみを考えて比較しています。

法的手続きと許可

新築の場合、土地の取得を含めてあらゆる開発許可・建築許可関係といった法令をクリアする必要があります。開発許可制度は、無秩序な市街化を防止するためのもので、良好な宅地環境の整備を目的としています。このような法令については、専門家にまかせておけばいいので、オーナーが特に意識する必要はありません。それでも、建築デザインにおいて突飛な要望を出した場合に是正される場合もあるようです。

建築許可については、リノベーションについては特にありませんでしたが、法改正が行われて2025年から施行される”建築基準法改正”において、少なからず影響を受けることになります。主なものは、”建築確認手続きが見直される”ということです。どういうことかというと、”省エネ基準への適合が義務づけられる”ことになります。
具体的には、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事などを行う場合は、建築確認申請が必要となります。

法令手続き 新築 リノベーション
建築許可
※ ◎:必要、○:条件により必要

リノベーションと新築のリスクと注意点

新築にしろリノベーションにしろ、住んでしまってからわかることもあります。「ここはちょっと思ったことと違ったな…」ということも多々あるでしょう。多少のことは寛容の精神も必要かも知れません。しかし、最初の話とは明らかに違っている、あるいは容認できない部分があればはっきりとクレームを出すようにしましょう。

以下は新築において一般的に考えられるリスクと注意点です。

  • 信頼できる建築会社・施工業者・不動産会社を選ぶ
  • 建物の仕様やプラン・デザインなどの確認
  • ローンの金利や返済期間
  • 現地の確認
  • 保証期間やアフターサポート
  • 費用全体の把握
  • 土地の権利関係
  • 災害リスク
  • 周辺環境
  • 将来的な再売貝価値
  • 税金や手続き

挙げれば次々と出てくるのですが、最初に挙げた、”信頼できる建築会社・施工業者・不動産会社”でほぼ解決できます。信頼できる業者に自分の思いの丈を包み隠さず話すことで、最適解に導いてくれるはずです。
リノベーションについては、すでに物件がそこにあるので、新築に比べて思い悩む場面は少ないと言えるでしょう。

リスク 新築 リノベーション
注意点
※リノベーションのほうがリスクは少ない

専門家の意見:リノベーションと新築の選び方

リノベーションと新築では、専門家の意見も割れているようです。リノベーションのほうがリスクが少ないとされていますが、あくまでも中古物件であり、築年数によっても変わってきます。そのときはよくてもすぐにガタがくることもあります。

そのため、物件によっては常にリノベーション(リフォーム)を考えないといけない場合もあります。総額で新築を超えることはないでしょうし、超えてしまうような大改装を考える場合は、更地にしてゼロから新築をしたほうがよいのは間違いのないところです。
そういったところで、日本において住み替え希望の住宅種別は以下のような円グラフで表されています。

※2023年6月ゼロリノベ調査による

近年、日本でもリノベーション人気が言われてきましたが、直近のデータでも新築人気は根強いものがあります。一方で、住宅において建築技術は現在においても進化し続けています。リノベで間取りの変更は難しいといった既成概念も打ち破られており、土台を活かしつつも中身はまったく別空間…というリノベーションも少なくありません。

多くの場合、新築かリノベーションかを決定づけるのは、費用・立地・快適性が3トップになると思います。費用と立地についてはリノベーションが優位ですが、快適性は新築のほうが圧倒的優位となります。

この”快適性”こそがリノベーションを凌駕する新築の大きなメリットと言えるでしょう。

まとめ

住まいを考えるときに、”リノベーションはリスクが大きい”という意見は根強いものがあります。一つに物件の寿命が短いこと、あくまでも中古物件であることです。そして、昨今では耐震性に対する不安などもあります。リノベできる範囲に限りがあることなどもあります。

数え上げればたくさん出てきますが、リノベーションを選択する側に立ってみると、立地が新築に比べてよいこと、費用を安く抑えることなども考慮しなくてはいけません。また、リノベ部分でも例えば”リビングの快適性”、”キッチン・バスルーム・トイレなどの水回りを完璧に仕上げる”といった一点突破で満足できるのであれば、それがベストということになります。

新築についてはトータルで考えるべきでしょう。いずれにしても、住まいを考える方の価値観によるものが大きく、新築・リノベーションのどちらがいい、というのは客観的な見方でしかありません。

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