住宅ローンの金利上昇|返済額への影響は?繰上返済や借換えの判断

住宅ローンの金利上昇が話題になると、家計への影響が気になって落ち着かないものです。特に、変動金利で借入している人は、今後の動向や利上げのタイミングによって、月々の返済額が増加する可能性があります。
一方、固定金利を選択している人は返済が読みやすい反面、当初の金利が高めになりやすく、借り換えや見直しを検討する場面も出てきます。
そこで今回は、金利と住宅ローンの基本、金利が上昇することの返済への影響などをわかりやすく解説します。繰上返済か借り換えか、悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローン金利上昇で起きる影響は大きく3つ

金利上昇の影響は、単純に「返済額が増える」だけではありません。大きく分けると、次の3つが家計に響いてきます。
- 毎月の返済額、利息負担、総返済の増加
- 借入可能額が下がり、ローン審査や購入計画に影響が出る
- 変動金利のルール次第で、返済額が動かなくても負担が増える
1つ目はわかりやすい影響です。金利が上昇すると利息が増え、返済期間が長いほど、返済額も増えます。2つ目は、金利が上がるほど同じ返済額では借入額を抑える必要が出る点です。結果として、資金計画や物件選択の幅が狭くなることがあります。
ただし最近では、フラット35が借入上限額を大幅に引き上げる方針を打ち出すなど、制度面で選択肢が広がる動きも見られます。そのため、「金利上昇=必ず借入可能額が大きく下がる」とは限らず、金利タイプや制度の使い分けがより重要になってきています。
(参考:令和7年度補正予算に伴う【フラット35】の制度改正のお知らせ)
3つ目は、変動金利に特有のルールによって「金利は上がっているのに、毎月の返済額はすぐ増えない」ケースがある点です。このとき返済額が据え置かれていると、返済の内訳が「利息が増えて、元金が減りにくい」形に変わります。
見かけの月々が同じでもローン残高の減りが鈍り、結果として総返済額が増えやすくなるため注意が必要です。
なぜ金利が上がるのかをざっくり整理する
金利が動く背景には、景気、物価、世界の金利情勢など複数の要因がありますが、住宅ローンの話で押さえておきたいのは「政策金利」と「長期金利」の2つです。
日銀の金融政策、特に利上げや政策金利の調整は、短期の金利環境に影響します。一方、固定金利に影響しやすいのは長期金利で、ニュースでは国債利回りの変化が話題になりがちです。
ここで大切なのは、変動金利と固定金利では影響の出方が違うことです。固定が先に動き、変動はタイムラグが出ることがあるため、「今の上昇=すぐ月々が上がる」と決めつけず、タイプ別に状況を整理する必要があります。
変動金利と固定金利の違いと上昇局面のリスク

住宅ローンの金利タイプは、大きく変動金利と固定金利に分かれます。
変動金利は、当初の金利が低めでスタートしやすい一方、今後の金利の上昇によっては、返済額が増加するリスクがあります。固定金利は、返済額が返済期間を通して読みやすい反面、当初の適用金利が高めになりやすく、家計のスタート負担が重くなることがあります。
ここでの判断軸は「得か損か」よりも、将来の家計にとって許容できるリスクの大きさです。たとえば、教育費や働き方の変化など将来の支出が増える可能性が高いなら、固定金利の方が先を読みやすいです。
逆に、余裕資金があり、多少の金利上昇があっても繰上返済などで調整できるなら、定期リスタートの変動金利を選ぶという考え方もあります。
変動金利で特に知っておきたい「5年ルール」「125%ルール」
変動金利は、金利が半年ごとに見直されることが多い一方、毎月返済額の見直しには別のルールが設けられている場合があります。代表例が5年ルールと125%ルールです。
5年ルールとは、金利が上がっても毎月返済額自体は5年間据え置き、内訳(元金と利息の配分)を調整して対応する考え方です。金利が上がると利息の割合が増え、元金の減りが遅くなりやすい点に注意が必要です。毎月の支払いが同じでも、ローンが思ったほど進んでいない、という現象が起こりやすくなります。
125%ルールとは、5年後に返済額を見直す際も、前回返済額の1.25倍までしか増やさない、という上限ルールです。急に返済額が跳ねない安心材料に見えますが、上限があるぶん、金利上昇が大きい局面では、利息の支払いが追いつかず未払利息が発生する可能性があります。
この仕組みを知らないと、返済額がすぐ増えないことで安心してしまい、実は元金が想定より減っていないという事態になりかねません。変動金利を選ぶなら、金利が動いたときの返済額だけを見るのではなく、「元金と利息の内訳」まで確認する習慣が大切です。
金利がどれくらい上がると家計に響くか
結局、どれくらい金利が上がると生活が苦しくなるのかは、家計の余力次第です。
- 金利が+0.25%上昇した場合
- 金利が+0.50%上昇した場合
- 金利が+1.00%上昇した場合
この3段階で、毎月の返済額、年間負担、総返済(利息を含む)がどう変わるかを確認してみましょう。ここで「返済額が増えるかどうか」だけを見るのではなく、返済期間を通した利息の増加にも目を向けるのが重要です。
また、優遇金利がいつまで適用されるか、当初だけ低い条件になっていないかもチェックポイントです。金融機関や銀行によって条件が異なるため、比較する際は、適用条件と期間をそろえて見るほうが判断しやすくなります。
また、金利が上がるタイミングも重要です。同じ上昇幅でも、借入直後の上昇は残高が大きいため影響が出やすく、ある程度返済が進んで残高が減ってからの上昇は影響が相対的に小さくなります。これから借りる人は、借入直後の上昇を想定した試算をしておくと、より安全側に計画を立てられます。
金利上昇が不安な人の対策は、順番が大事

金利上昇が気になると、「より、金利が低い金融機関がいい」と、借り換えを真っ先に考えたくなります。しかし、行動には順番があります。おすすめの流れは次の通りです。
- 家計の安全資金を確保する
- 金利上昇の影響をシミュレーションする
- 繰上返済を検討する
- 最後に借り換えを検討する
まず、生活資金を確保します。繰上返済や借り換えで手元資金が薄くなると、修繕費や想定外の出費に対応できず、結果として家計が苦しくなることがあるためです。
次に、シミュレーションで影響を把握し、余力があるなら繰上返済を検討します。繰上返済は元金を減らすので、利息の土台そのものを小さくできます。
そして最後が、借り換えです。借り換えは有効な選択肢ですが、諸費用、審査、金利タイプの変更による返済額の増減など、検討項目が多い対策です。金利差だけで決めず、コスト込みで総返済がどうなるかを見て判断する必要があります。
これから借りる人は「上昇を織り込んだ借入」が強い
これから住宅ローンを組む人は、今の金利水準だけで借入額を決めると、将来の上昇で家計がきつくなる可能性があります。大切なのは、金利が上がったときに、耐えられる借入額なのかどうかです。
具体的には、返済比率の基準に加えて、自分の家計で「毎月いくらまでなら無理がないか」を先に決め、その枠の中でローンの選択をします。変動を選択するなら、金利上昇のリスクに備えて繰上返済できる余力を残す金額を考えます。
固定を選択するなら、当初の返済額が家計を圧迫しないかを丁寧に確認したいところです。固定期間選択型を使う場合は、固定期間が終わる時期とライフイベントが重ならないように、返済期間と期間設計を調整するとストレスが減ります。
まとめ
住宅ローン金利上昇の影響は、返済額の増加だけでなく、借入可能額の減少、変動金利のルールによる見えにくい負担増など、複数の形で家計に現れます。
日銀の利上げや政策金利、長期金利の動向は気になりますが、最も大切なのは、必要な対策を順番に打つことです。自分のローンのタイプと金融機関の条件を前提に、将来の上昇を織り込んだシミュレーションを行いましょう。
金利が上昇した場合、繰上返済や借り換えは有効な手段ですが、手元資金を確保した上で、総返済額がどう変動するのか、全体的な視点を持って検討すると安心です。
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