木造住宅の耐震性は大丈夫?地震に強い家づくりのポイント
家を建てる時、地震や災害に強い家を建てたいと思うのは当然のことです。そこで心配になるのは、木造と鉄筋、どちらの方が丈夫なのか?という点ではないでしょうか?
鉄やコンクリートの方が丈夫なイメージがあると思いますが、強度という点では実は木の方がはるかに高いのです。
木の温もりが感じられる木造住宅にも魅力を感じるけれど、やはり地震には弱いのではないかと不安な方へ、木造住宅の耐震性についてお話しします。木造住宅だから地震に弱いということはないので、安心してください。
地震に強い家づくりで大切なのは、木造か鉄筋かということではなく、どうやって建てるのか、その対策なのです。
目次
木造住宅でも耐震性の高い建物にする義務がある
木造住宅だからといって地震に弱い、少しの揺れですぐに倒壊してしまうと思うのは間違いです。なぜならば、建築基準法により耐震基準が定められていますので、木造、鉄骨、鉄筋などの構造に関わらず、どのような住宅であっても一定の強度を持っていなくてはならないからです。
大きな災害にあうたびに建築基準法が改正され、少しずつ耐震基準も高められてきました。現在は、震度6から7の地震が来ても倒れない建物を建てることが法律によって定められています。ですので、木造住宅であってもこの耐震基準に沿って建てられたものであれば、多少の揺れで倒壊することはないのです。
2016年4月の熊本地震では、震度6弱以上の地震が7回もありました。しかしながら、「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告によると、2000年以降に建てられた建築物の被害は少なく、耐震等級3の木造住宅の大部分は被害がなかったことがわかっています。
実は耐震性が高い!木造住宅の特徴
木造住宅よりも鉄筋コンクリート造りの住宅の方が頑丈に見えるかもしれません。しかし木造住宅は、決して地震に弱いわけではありません。その特徴について説明します。
木造住宅は軽くて地震の揺れを逃しやすい
どう見ても、鉄筋コンクリートよりも木材の方が柔らかくて弱く見えるでしょう。しかしその木材の柔らかさこそ、地震に強い秘密なのです。
木は柔らかくしなやかで軽く、地震の揺れを逃しやすいという特徴があります。軽いということは揺れた時の建物にかかる力が少なく、建物の揺れ自体が少なくなるのです。しかも木は乾燥するほど強度が増すため、少しの揺れくらいで倒れることはありません。
現在の建築基準法の基準を満たしていれば、木造だからといって地震に弱いことはなく、通気性がよく温もりも感じられる木造建築の良さを感じられる家を建てられるでしょう。
地震だけでなく火災にも強い
木は燃えやすいのではないかと思われがちですが、実は木造住宅は、地震だけでなく実は火災にも強いのです。
確かに、小さな木屑はすぐに燃えてしまいます。しかし、火災の現場の写真などで、黒く炭化した柱や梁が残っているのを見たことはありませんか?木造住宅に使われている太い梁や柱などは、よほどのことがない限り火がついても内部まで燃えることはありません。
木造住宅に使われているような太くて大きな木は、表面に火がついても炭化層と呼ばれる、いわゆる「炭」の層を作ります。その炭化層のおかげで、木の内部まで燃えるのを防いでいるのです。木材の表面が燃えても中までは火が通らないため、家の強度は保たれるのです。
鉄筋コンクリートは、一見火に強そうですが、金属は熱の伝導率が良いため、急速に温度が上がります。熱によって金属が柔らかくなるため、強度を失い倒壊しやすくなるのです。
耐震性の高い木造住宅を建てるためのポイント
耐震性の高い家を建てるには木材か鉄筋ではなく、構造や工法に着目します。地震に強い家を建てるポイントについて解説します。
家を建てる土地の地盤の強さ
家を建てる土地の地盤の強度は、耐震性を考える上で非常に重要なポイントです。どのような構造で建てたとしても、地盤が緩ければ簡単に家は倒れてしまいます。家を建てる前には、必ず地盤調査を行い、もし地盤が弱い場合には必ず改良工事を行いましょう。
2000年の建築基準法の改正により、地盤調査は実質義務化されています。戸建てを建築する際には一般的にスウェーデン式サウンディング試験が行われますが、費用は5万円から10万円ほどです。半日ほどで終わります。
また、これから土地を購入するならば、国土交通省等が公開しているハザードマップもよく確認してからにしましょう。今は地盤が強くても、水害や土砂災害によって今後緩くなっていく可能性もあります。なるべく災害の少ない地域を選ぶことが重要です。
耐震等級にも着目
耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、いわゆる「品確法」によって定められた耐震性の基準のことです。等級は1から3まであり、数字が高くなるほど耐震性も高くなります。
それぞれの耐震等級について特徴をまとめました。
等級 | 強さのレベル |
---|---|
耐震等級1 | 建築基準法の基準を満たしている。 震度5程度では損傷せず、震度6から7でも倒壊や崩壊をしない |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の強度 学校や避難所の建物 長期優良住宅の条件でもある |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の強度 病院や警察署、消防署など 大きな地震でもダメージが少なく、地震後も安心して住める |
耐震等級は、耐震性を大きく左右する基礎構造はもちろんのこと、建物の軽さや重さ、耐力壁の量などによって家全体のバランスを見て判断されます。
木造住宅は鉄筋よりも軽く地震の揺れの影響を受けにくいのが特徴です。耐力壁を適切な位置に配置し、総2階建てのシンプルな構造にするなどの工夫で、木造住宅でも地震に強い家づくりが可能です。
工法にかかわらずどのような耐震対策がされているかを確認
木造住宅の構造は、主に2つあります。在来工法とも呼ばれる木造軸組工法と、ツーバイフォー工法と呼ばれる枠組壁工法です。
在来工法とは、日本で古くから行われている伝統的な工法で、柱や梁を先に組み立て骨組みを作ります。雨が多い日本の気候に合わせて工事がしやすいよう、梁の上に先に屋根を取り付けます。町の工務店や大工さんでも対応できることが多く、根強い人気のある工法です。
在来工法は耐震性が弱いと思われがちですが、そのようなことはありません。許容応力度計算、保有水平耐力計算など構造計算をきちんとして建てられた家であれば、大きな地震でも倒壊することはないでしょう。
ツーバイフォー工法とは、2インチ×4インチの木材で作られたパネルを組み立ていく工法です。在来工法が線で支えるものであるのに対し、ツーバイフォー工法は面で支える工法であり、在来工法とは逆に床、壁、屋根の順で建てていくので、雨対策は必須となります。
面で支える構造であることから、もともと地震に強いとされるツーバイフォー工法ですが、在来工法の耐震性が格段に上がっていますので、工法のみでどちらが丈夫かとはいえなくなってきています。
▼参考記事
ツーバイフォー(2×4)工法のメリットとデメリット、注意点まとめ
比較するならば単に工法で選ぶのではなく、耐震等級やどのような業者が施工を行うのか、構造計算をきちんとしているのかなど、「どう建てるか」に着目しましょう。
地震対策で大切なのは信頼できるハウスメーカーを選ぶこと
地震に強い木造住宅を建てるなら、信頼できるハウスメーカーを選ぶことが何よりも重要です。ハウスメーカー選びのポイントは、以下の通りです。
- 家を建てたいエリアの地盤についても詳しいか
- 構造計算をしっかりと行っているか
- どのような建材を使用しているかなど、詳細な見積書を出してくれるか
- 耐震性に関してこちらがする質問に、わかりやすく丁寧に説明してくれるか
特に重要なのは、素人でも分かるように詳細な説明をしてくれるかどうかという点です。
「耐震等級3だから大丈夫」ではなくて、何がどう大丈夫なのか、こちらが納得できるまで説明してくれる、施主の不安に寄り添い、同じ目線で家づくりをしてくれるような業者を選びましょう。
まとめ
木造住宅は軽くて丈夫、地震の揺れも逃しやすいので、地震に強いという特徴があります。耐震基準に沿って作られた木造住宅なら、震度6〜7の地震でも倒壊する心配はないのです。
また、鉄に比べると火災にも強く、地震による火災が起きても、簡単に倒壊することはないでしょう。
地震に強い家を作るには、木造か鉄筋かということではなく、地盤の強い土地を選び、しっかりと耐震対策がされていることが重要です。
どのような対策をしているのか、わかりやすく丁寧に説明してくれるハウスメーカーを選べば、木造住宅でも安心して住むことができるでしょう。
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