2023.9.8
家づくり

スキップフロアとは?種類やメリット、デメリットを紹介

注文住宅を建てる際は、自分なりのこだわりを詰め込んでおしゃれな家を作りたいと思っている方が多いと思います。特に、狭い土地に2〜3階建ての家を建てようと思っている方におすすめなのが、スキップフロアです。

スキップフロアとは縦の空間を利用して居住スペースを増やす工夫のひとつです。スキップフロアの特徴を知り、狭い敷地でも広く快適に過ごせる家づくりに取り入れてみませんか?

スキップフロアのメリットやデメリット、スキップフロアの種類などについてお話しします。

スキップフロアとは?

スキップフロアとは、階と階の空間を利用して段差を設け、1つの間取りとして有効活用するフロアのことです。中2階をイメージしていただくとよくわかると思います。間取り図では、1.5階、2.5階などと表記されていることもあります。

ステップフロアと呼ばれることもあり、段差の設け方次第で多彩な空間を生み出すことができます。小さな階段をつけて上がれるようにしたり、床とそれほど段差がなく1段高いところに小上がりと呼ばれる空間を作ったりすることもあります。

壁やドアがないのに、段差を作るだけでそこに独立した新たな空間を作ることができる、それがスキップフロアです。

スキップフロアのタイプ

スキップフロアにはいくつかのパターンがあります。

  1. 1階と2階の階段の間(踊り場)にフロアを作る
  2. 1つの部屋に段差をつけてスキップフロアを作る
  3. 部屋の上部にスペースを作って梯子をかけて利用する

階段の間にスキップフロアを作ると、1階と2階を行き来する時に必ず通るので、たとえば小さな椅子とテーブルを置いて家族の憩いの場にするのも良いでしょう。

1つの部屋に段差をつけるパターンは、階段ほど危なくないので、子供の遊ぶスペースとして有効活用できそうです。段差の付け方は、1段高くしてスペースを作る場合と、下げて作る場合があります。下げると半地下風のスペースができます。

部屋の上部の空間を利用すると、ロフト風のスペースを作ることができます。通常ロフトは荷物の収納場所として利用されることが多いですが、普段は見えにくいスペースになるので、寝室がわりに使うこともできますし、子供の秘密基地として使うのも楽しいでしょう。

スキップフロアのメリット

壁を作らずに間取りを増やすことができるスキップフロアには、このようなメリットがあります。

限られた空間を有効活用できる

1つ部屋を増やそうすると、壁や扉、廊下が必要になります。しかしスキップフロアなら、高さを変えるだけで新たな部屋を生み出すことができるのです。たとえば、子供部屋を作りたいと思ってもスペースが足りないというとき、リビングの一角を1段高くしてスキップフロアにすることで小さな子供の居場所を作ることが可能です。

縦の空間を区切るだけで「見えない壁」を作れますから、本来作らなくてはならない壁も廊下も必要なく、限られた空間を有効活用できます。

高さ制限のある地域でも部屋を増やすことができる

狭い敷地に家を建てるとき、なるべく縦に高く、3階以上の建物を建てたいと思ってもそれができるとは限りません。法令によって高さが制限されている地域ですと、決められた高さの建物しか建てられないのです。3階分の空間を確保しようと思うと、地下に掘り下げるしかなくなってしまいます。

そんな時に有効活用して欲しいのがスキップフロアです。縦に伸ばすことなく、本来ならただの空間になってしまう場所に新たなスペースを作ることができるのです。

狭くても圧迫感を感じにくい

スキップフロアは高さを変えるだけで新たな空間を生み出します。部屋と部屋が壁で区切られていないので開放感があります。壁がない分、同じスペースでも広く感じます。

たとえば畳2枚分(1坪)のスペースはおよそ3.3平方メートルしかありません。もし四方が壁で囲まれた空間だったら、かなり狭く感じるのではないでしょうか。しかし、スキップフロアなら視線を遮るものがないため、圧迫感を感じにくいのです。

家族同士の距離が近くなる

壁はなくとも、段差があることで空間としては独立している感があります。リビングなどで一緒にいるのとは少し違い、プライベートな空間として自分の時間を楽しむことができるでしょう。

一方で、壁がありませんから、気が向けばいつでも家族同士で話ができます。子供が部屋にこもって出てこないという心配もないでしょう。自分のスペースを確保しながら家族のつながりは断ち切られず、コミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。

日当たりがよく換気が自然とできる空間になる

余分な壁や床がない分、空間を広く使うことができため、空気の通り道を考えた窓の配置は必要ですが、非常に風通しが良くなります。

また、窓を大きくすればたっぷりと自然光を取り込むこともできますので、換気しやすい明るく快適な部屋作りができます。

収納場所を増やすことができる

狭小住宅など限られたスペースを有効活用するには、余計な家具を置かなくても済むように、いかに収納を増やすかが大事なポイントです。スキップフロアを作ると、段差の下を床下収納にしたり、階段の下のデッドスペースを収納場所にしたりすることができます。

スキップフロアは固定資産税が有利になる可能性がある

延べ床面積とは、建物の床の面積を合計したものです。2階建ての家なら、1階と2階の面積の合計が延べ床面積となります。

しかし、建築法上「居室」とされるのは天井の高さが1.4メートルを超えるの場合です。1.4メートル以下なら延床面積には含まれません。固定資産税を算出する際、この延べ床面積が影響しますが、スキップフロアは延床面積に含まれないことから、固定資産税を算出する際に有利になることがあります。

実質的な生活空間を増やしながら、固定資産税はかからないことになれば、節税対策としてもメリットの大きな空間となります。

ただし、スキップフロアの扱いは自治体によって違いがありますので、念のため規定を事前に確認してください。

スキップフロアのデメリット

スキップフロアがある住宅
空間を有効活用でき、なおかつ固定資産税も有利になる可能性のあるスキップフロアですが、デメリットがないわけではありません。

ただし、デメリットをあらかじめ知っておけば対策はできるはずです。家を建ててから後悔しないために、先に知っておく必要があります。

段差の多い家になる

空間を区切ることで新しいスペースを生み出すため、どうしても段差が増えてしまいます。バリアフリーの家に住みたいと思っている人にはあまり向いていません。たとえば、高齢の親と住みたいという時に、段差があることで暮らしにくく感じてしまう可能性があります。自分が高齢になった時も同様です。将来的にホームエレベーターを設置するなど、建築前から考えておく必要があります。

もしくは、スキップフロアは寝室など毎日必ず使用する場ではなく、客間にするなど、「特別な空間」にしておくことで、常時上り下りすることはなくなります。

また、子供もある程度の年齢になっていれば問題はありませんが、小さいうちはほんの少しの段差でも転んで怪我をすることがありますから、注意が必要です。段差があっても大丈夫な年齢になってから建築するなど、時期は考えた方が良いでしょう。

費用がかかり業者選びも大変になる

単に1階、2階と建物を建てるわけはないため、構造がやや複雑で、建築費用も割高になります。また、一般的な建売で採用されているものではないので、間取りに合わせた複雑な構造計算などが必要で、どの工務店・ハウスメーカーでも対応できるかというと、そうではありません。

スキップフロアの建築実績が豊富な業者に依頼しないと、耐震性能などに不安が残ります。高い技術力を持った業者に依頼できるよう、これまでの実績などをよく比較して依頼先を決めることがとても大切です。

冷暖房の効率が良くない

壁や床の仕切りがないため、家全体が大きな空間のワンルームのようになっています。吹き抜けと同じように、天井が高いことから、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすくなります。

サーキュレータやシーリングファンなどを利用しながら上手に空気を循環させて、冷暖房の効率をよくする工夫が必要です。

自治体によっては固定資産税が高くなる

多くの自治体では、天井が1.4メートル以下のスキップフロアは延床面積に含まれないため、固定資産税がかからないのですが、自治体によっては逆になることがあります。

延床面積にスキップフロアも含まれる場合には、実質は2階建てであるにもかかわらず、固定資産税は2階建てのままよりも高くなってしまう場合もあります。

まとめ

スキップフロアとは、階と階の間などの空間をうまく使って新たなスペース生み出す方法です。狭小住宅でも縦の空間を区切ることで居住スペースを増やすことが可能です。

壁がない分、開放感がありますし、自然光や風も取り入れやすいです。一方で、段差が多くなることは避けられないため、将来的にホームエレベータの設置など暮らしやすい工夫を建築当初から考えておくことが大切です。

自治体によっては固定資産税が有利になることもありますので、狭い空間を少しでも広くしたいとお考えの方は、スキップフロアをぜひ検討してみてください。

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