建坪とは?知っておきたい建築面積や建ぺい率、坪単価との関係
家を建てようとするとき、「建坪(たてつぼ)」という言葉をよく耳にすると思います。家の広さを考えるなら知っておくべき用語ですが、たとえば「建坪30坪」と言われたらどのくらいの大きさなのか、想像がつくでしょうか?
似たような言葉に、「坪単価」、「建築面積」などがあり、理想の家を建てるには結局どのくらいの広さが必要なのかよくわからない、用語の意味を知りたいという人も多いと思います。
そこで、建坪の意味から建築面積の計算方法など、これから家を建てようと思う人が知っておくべき用語について詳しく解説します。言葉の意味を知ることで、思い通りの家を建てることができるでしょう。
建坪とは坪数で面積を表す言葉
建坪とは10坪、20坪などと表現しますが法律用語ではありません。坪数で面積を表す言葉です。したがって、建築基準法に定められた言葉ではなく、明確な基準もないため、ハウスメーカーや工務店によって捉え方が違う場合があります。
住宅メーカーによって違う建坪の捉え方
たとえば、建坪のことを、A社では1階部分の「床面積」と捉えているのに、B社ではカーポートや屋根も含んだ「建築面積」として捉えている場合があります。
「この家は20坪です」といわれたとき、この捉え方によって実際の広さのイメージが違ってきてしまいます。A社の捉え方なら、1階の部屋部分だけで20坪になりますから、実際には20坪以上の広さの家になるでしょう。
それに対して、B社の捉え方ですと屋根の大きさが20坪になりますから、1階の部屋は20坪以下ということになります。このような齟齬を防ぐためには、建坪よりも建築面積を基準に話した方が良さそうです。
建坪と建築面積との違い
建築面積とは建築基準法にも定められている言葉です。法令用語ですから基準が明確で、ハウスメーカーによって捉え方が違う心配もありません。真上から見たときの面積のことで、外壁・柱の中心線に沿った「水平投影面積」と定義されています。
「水平投影面積」とは、太陽が家の真上にある時にできる影の面積のことです。屋根が凸凹でも三角形でも、家の影は四角形になります。
また、上から見た影の形なので、1階よりも2階が広い作りであれば、2階の面積が建築面積になります。
建坪と延べ床面積との違い
延べ床面積とは、その建物の面積すべての合計です。2階建ての家でしたら、1階と2階の面積を足したものになります。
建坪の計算方法
建坪の捉え方は会社によって違う可能性がありますが、1坪の面積は決まっています。
- 1坪=3.305785平方メートル
- 1平方メートル=0.3025坪
メートル法で考えると端数が出てわかりにくいかもしれません。昔ながらの単位ですと、1坪は畳2枚分です。
建築面積はメートル法で表記することが義務付けられていますが、在来工法ですと坪数表記も併記されていたり、洋室でも部屋の広さを「6畳」など畳を単位にしていたりする場合も多いです。
建築面積を算出する際の注意点
建築面積は、建物を上から見た時の面積のことでした。ここで、いくつか注意があります。上から見た時に、見えたとしても面積に含まれない部分、逆に見えないけれど面積に含まれる部分があります。
バルコニーの面積は1メートルが境目
バルコニーや庇(ひさし)の突き出している部分が、1メートル以下なら建築面積に含まれません。一般的な建売住宅のバルコニーや庇は、90cmに収まるように作られていることから、建築面積に含まれないということになります。
これは、バルコニーを建築面積に含めないことでできる限り建ぺい率を下げ、なるべく広い部屋を作ろうという工夫です。
逆にいうと、1メートル以上になると建築面積に含まれてしまいますので、注文住宅を建てる場合には注意が必要です。こだわりのデザインで大きなバルコニーなどを作ると、1メートル以上なら建築面積に含まれます。
吹き抜けの面積は建築面積に含まれる
開放感のある吹き抜けは、上から見ても見えない部分ですが建築面積に含まれます。しかし、延べ床面積には含まれません。
建築面積は建ぺい率と、延べ床面積は容積率と関係しますが、吹き抜けの有無によって算出方法が変わってきますので、注意が必要です。
出窓は条件によって含まれるものと含まれないものがある
出窓は、大きさによって建築面積に含まれるものと含まれないものがあります。
【含まれないもの】
- 出窓の下端の高さが床面から30cm以上ある
- 出窓が壁から50cm以上突き出していないこと
- 出窓の面積の1/2以上が窓(開口部)であること
この条件に合致していれば、出窓は建築面積に含まれません。しかし、以下の場合は、上記の条件を満たしていても建築面積に含まれます。とても面倒ですが、注意してください。
- 出窓の天井が室内の天井よりも高い位置にある
- 出窓の下に収納がある
- 出窓が屋根と一体化していて下屋(げや)がない
下屋とは、母家から張り出して作られている屋根のことです。つまり、屋根とは別の独立した下屋がついていない出窓は建築面積に含まれるということです。
素人には少々難しく、判断がつかない場合もあると思います。建築の際は、専門家の意見を聞きながら進めていくと間違いないでしょう。
カーポートは原則として含まれる
カーポートは、原則として壁がある場合、もしくは屋根と柱があれば建築面積に含まれます。ただし例外があります。
- 柱の間隔が2m以上あること
- 天井の高さが2.1m以上あること
- 外壁のない部分が連続して4m以上あること
これらの条件を満たす「高い解放性を有する建築物」については、建築面積に含まれません。
建築面積と建ぺい率の関係
建築面積が重要なのは、建ぺい率と関係するからです。建ぺい率とは、敷地面積に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるか、という割合ですが、以下の計算式で算出します。
- 建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 ×100
敷地面積が100平方メートル、建ぺい率が50%なら、建築面積は50平方メートルということになります。どのような間取りの家を建てるのかを考える上で、建築面積を確定させることが重要だとお分かりいただけるでしょう。
坪単価は建坪と同様に定義が明確はない
坪単価とは、1坪あたりの建築費を指す言葉です。以下の計算式で算出します。
- 建物の本体価格÷延べ床面積=坪単価
建築費用が3,000万円、延べ床面積が50坪ならなら、坪単価は60万円になります。
ここで注意しなければならないことは、この坪単価にも明確なルールがないということです。建坪に関してはメーカーによって捉え方が違うというお話をしましたが、坪単価についても計算の基準が異なる場合があります。
建物の建築にかかった費用のみを本体価格とする場合もあれば、内装に関するものや建築に関して役所に届け出しなければならない書類の費用なども含めて建築費用としている場合があるからです。
ですから、坪単価を比較する際は、単に数字だけを比較してはいけないということです。延べ床面積、建築費用、それぞれに何が含まれているのか、その前提を確認しなければ本当の比較にはなりません。
費用について、詳しく説明してくれるハウスメーカーに依頼することが大切です。
まとめ
建坪とは、10坪、20坪など土地の広さを表す言葉ですが、法律用語ではないため、ハウスメーカーや工務店によって解釈が違う場合があります。ただし1坪の大きさは決まっていて、畳2枚分、およそ3.3平方メートルです。
そのため、家の正確な広さを知るには、建築面積や延べ床面積を確認します。この2つは、建ぺい率や坪単価と関わる数字ですので、何が含まれるのか詳しく知っておくことが大切です。
理想の家づくりには欠かせない知識ですので、わからないことがあればハウスメーカーなどに相談しましょう。
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