ツーバイフォー(2×4)工法のメリットとデメリット、注意点まとめ
これから家を建てようと思っている方は、ツーバイフォー(2×4)という工法を耳にしたことがあるでしょう。
木造建築の方法の一つであるツーバイフォー(2×4)はどのような工法なのか、これまでの建築方法と何が違うのか、よくわからないという方も多いと思います。
そこで、ツーバイフォー(2×4)の仕組みから在来工法との違い、メリット、デメリットまで詳しく解説します。家の建て方で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ツーバイフォー(2×4)工法とは?
ツーバイフォー(2×4)工法は、正式名称を「木造枠組壁工法」といいます。木造建築の工法の一つで、2インチ×4インチの角材を使うことから、このような名前がついています。アメリカやカナダなどで使われており、北米では木造住宅の9割がツーバイフォー(2×4)工法で作られています。
日本では1974年(昭和49年)に建築基準法で技術基準が告知されたことによって建築が始まり、現在は新築住宅のおよそ1割強を占めています。
他にも、ツーバイシックス、ツーバイエイトなどがあり、角材のサイズによって工法の呼び名も変わります。
「面」で「箱」を作る工法
1インチがおよそ2.54cmですので、2インチ×4インチは5.08cm×10.16cmです。この角材を使って枠を作っていきます。角材を合板に貼り付けて1枚のパネルを作り、このパネルを6面組み合わせて箱を作ります。サイコロのようなものをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。これが部屋の基準となります。
箱を横に繋げたり、上に乗せたりして家を作ります。柱や梁ではなく壁という「面」で家を支えるので「木造枠組壁工法」と呼ばれるのです。
在来工法との違い
日本の伝統的な木造建築は「木造軸組工法」と呼ばれています。柱や梁で骨組みを作り、斜めに木材を渡した筋交(すじかい)で土台を補強していきます。こちらは「線」で家を組み立てるイメージです。骨組みが「線」であることから、ツーバイフォー(2×4)工法と比べると間取りの自由度が高くなるのが特徴です。
家を建てるときは、まず土台の上に屋根を作り、最後に壁を取り付けます。壁よりも先に屋根を作るのは、雨の多い日本で少しでも資材を雨から守るためです。日本の気候にあった工法だといえるでしょう。
鉄骨造(S造)との違い
鉄骨造とは、骨組みに鉄骨を使って組み立てていく工法です。鉄骨の厚みによって、6mm未満は軽量鉄骨造、6mm以上は重量鉄骨造と分類します。
鉄骨を使う分ツーバイフォー(2×4)工法よりも費用がかかるものの、間取りの自由度は高く、耐用年数も長いです。
鉄筋コンクリート造(RC造)との違い
鉄筋コンクリート造はその名の通り、鉄筋で枠組みを作った後にコンクリートを流し込んで作る工法です。コンクリートだけでは圧縮に弱いため、もろく、強度が不安ですが、鉄筋と組み合わせることによってその弱点を補っています。
強度にも優れ間取りの自由度も高いという特徴がありますが、一方で費用がかかり、工期も長くなるというデメリットがあります。
ツーバイフォー(2×4)工法のメリットは丈夫で早く出来上がること
ツーバイフォー(2×4)工法は木造であることとその構造から、以下のようなメリットがあります。
規格化されているので工期が短くて済む
ツーバイフォー(2×4)工法は事前にパネルを作っておき、それを現場に運んで組み立てる方式です。建築資材が規格化されており、現場での作業もシステム化できますから、工期が短くなります。
工期が短くて済むということは、早く家が出来上がるということです。また、人件費の抑制にもつながり、少しでも建築費用を抑えることができるでしょう。
耐震性が高いから揺れに強い
線ではなく面で家を構成しているので、揺れに強い建物を作れます。
ツーバイフォー(2×4)工法はカナダから導入された技術ですが、もちろん日本の建築基準法にのっとって利用されています。阪神大震災や東日本大震災で甚大な被害がでたときも、ツーバイフォーの住宅は被害が少なかったことがわかっています。
社団法人日本ツーバイフォー建築協会が行った2011年(平成23年)の調査によりますと、「強振変形(地震の揺れによる変形)」の被害はわずか2件でした。半壊したのは「地盤変形」「液状化」といった地盤そのものの崩壊による被害であり、揺れによる被害はほとんどなかったといって良いでしょう。
「ハリケーンタイ」の使用で風にも強い
面で作られているツーバイフォーは、強い風にも強いです。ツーバイフォーが生み出された北米は日本の台風よりも強力なハリケーンの通り道となっているところです。強い風でも屋根が吹き飛ばされないよう「ハリケーンタイ」と呼ばれる金具が取り付けられています。
このハリケーンタイは屋根と外壁をしっかりと固定するためのもので、非常に強い耐風効果を発揮してくれます。その丈夫さから、最近では豪雪地帯の雪庇(せっぴ)対策としても利用されています。
気密性(省エネルギー性)が高く冷暖房の効率も良い
木造建築ではすきま風が問題でしたが、在来工法とは違い面を組み合わせて作っていることから、隙間が少なく、非常に気密性が高くなります。気密性が高いということは冷房・暖房の効率が良く、省エネにもつながります。
木造だから耐火性が高く倒壊のリスクも少ない
木造建築=燃えやすいと思われがちですが、実は鉄骨や鉄筋よりも耐火性に優れてるという特徴があります。
小さな木はすぐに燃えてしまいますが、建築に使われているような太くて丈夫な木材は、表面が燃えても中まですぐには燃えません。表面は炭化するものの、芯が残っているので強度はそのままなのです。
しかし鉄は熱伝導が早く、短時間で高温になります。そのため熱によってゆがみ、家が倒れる原因になるのです。
ツーバイフォー(2×4)工法は気密性が高いため外からの酸素が入りにくく、火が広がりにくいというメリットもあります。酸素がなければ火は消えますので、ツーバイフォーそのものが燃えにくい構造だといえるでしょう。
また、ファイヤーストップ構造で作られたツーバイフォー住宅は、さらに耐火性が高くなります。壁や天井に石膏ボードを貼り建材を守り、枠組みには「ファイヤーストップ材」を使用して空気の流れを遮断することで、火が燃え広がるのを防ぐのです。
外からの火では燃えにくく、内側で火事が起きても他の部屋に火が広がるのを防ぐ、耐火性の高い家になります。
ツーバイフォー(2×4)工法のデメリットは自由度が低いこと
丈夫なツーバイフォー(2×4)工法にもデメリットがあります。家を建てる前に、以下のデメリットを知っておきましょう。
コストを抑えることができない
在来工法は材料の変更が可能です。法令の範囲内であれば問題ないので、木の種類やサイズを変更してコストを下げられます。一方、ツーバイフォー(2×4)工法では規格が決まっているため、変更ができません。建築資材の部分でコストを下げることはできないのです。
しかし裏を返せば、どのような家を建てても資材の部分で差が出ることはないので、資材を変えたことによって耐震性や耐火性に問題が出るという心配もないということです。
間取りの自由度がやや低い
ツーバイフォー(2×4)工法は箱を組み立てて家を建てるイメージですから、在来工法と比べると間取りの自由度は低いです。
また、耐震強度を保つために、窓の位置も制限されます。部屋の角や高い位置、一箇所に複数の窓をつけるといったことはできないので、個性的な家を建てるのは難しいかもしれません。
リフォームは難しい
在来工法でしたら、2部屋の間の壁を取り払って1部屋にすることも可能ですが、壁で支えるツーバイフォー(2×4)工法では難しいです。リフォームの方法も限られてくるため、思い切った工事はできないでしょう。
ツーバイフォー(2×4)工法で家を建てるときに注意すべきこと
ツーバイフォー(2×4)工法が日本に入ってきて40年以上が経ちましたが、実際に採用している件数はそれほど多くはなく、まだまだメジャーな工法とはいえません。
箱を組み立てて重ねるだけなら簡単なのでは?と思われるかもしれませんが、建築にあたっては独自の細かい基準があり、どのハウスメーカーでも対応できるかというとそうではないのです。
ですから、建築の実績が不十分な業者に依頼してしまうと、施工ミスが起こる可能性もあります。ハウスメーカーや工務店だから任せておけば大丈夫と思わずに、過去の実績などを調査し、その会社が建てた家に問題が起きていないか確認してから依頼することが大切です。
イッカデザインの家づくりのこだわり
まとめ
ツーバイフォー(2×4)工法とは2インチ×4インチの角材を使うことからこの名がついています。角材を合板に貼ってパネルを作り、箱を組み立てて「面」で家を作ります。北米では木造住宅のおよそ9割がこの工法で建てられています。
間取りの自由度は低いものの、工期も短く、耐震性が高いのが特徴で、耐火性も高いことから自然災害の多い日本にも適した建築法であるといえます。
ツーバイフォー(2×4)工法で理想の家を建てるには、業者選びが重要です。不慣れな業者に頼まないよう、過去に実績などをよく調べてから依頼されることをおすすめします。
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