長期優良住宅とは?長く快適に暮らせる住宅のメリット・デメリット
長期優良住宅とは、国から認められた暮らしやすい家のことです。申請するにあたっては一定の基準をクリアする必要がありますが、同じ広さの家を建てるなら、長期優良住宅にした方がメリットが大きいでしょう。
暮らしやすいだけでなく、住宅ローン控除や金利、税金の面でも優遇措置があるからです。
どのようなリットがあるのか詳しく解説しますので、これから家を新築しようと思っている方はぜひ参考にしてください。
長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、一定の基準をクリアした、長期にわたって快適に暮らすことができる住宅のことです。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に施行されており、役所に届け出ることで認定を受けることができます。
構造が安定しているだけでなく、一定の広さがある、高低差がないなど様々な条件が定められています。その要件をクリアし、行政から認めてもらえると、税金や住宅ローンなどの面でもさまざまなメリットがあります。
長期優良住宅の認定基準
では、どのような住宅が長期優良住宅だと認められるのでしょうか。主にこのような要件を満たす住宅のことを指します。
- 一定の広さ以上の住宅であること
- 長期にわたって使用するための構造や設備を有していること
- 居住環境への配慮があること
- 将来的な維持・保全計画を定めていること
- 災害への配慮があること
具体的には、9つの基準をクリアする必要があります。どのような基準か、一覧にまとめました。
認定基準 | 内容 |
---|---|
劣化対策 | 3世代にわたって使用できるよう、構造の種類に合わせた対策をする。シロアリ対策や床下に点検口を設置するなど。 |
耐震性 | 耐震等級2級以上の建物であること |
省エネルギー性 | 断熱性、気密性が高いこと |
バリアフリー性 | 将来的にバリアフリーの工事が行えるようにしてあること |
可変性 | ライフスタイルの変化に応じて間取りを変更できること |
住戸面積 | 快適な暮らしができる広さを確保すること(2人世帯:75平方メートル以上など) |
居住環境 | 景観を壊さず、その住環境の維持に配慮すること |
維持保全計画 | 将来の修繕の計画が立てられていること |
維持管理・更新の容易性 | 耐用年数が短い設備や内装について、定期的なメンテナンスを行うための措置が講じられていること |
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅は、快適に暮らせるという以外にも、税金やローンなど金銭面のメリットも大きいのです。
税金の軽減措置が受けられる
家を建築・購入すると、さまざまな税金がかかりますが、長期優良住宅ならそれらの税金が減額されます。
【不動産取得税】
不動産取得税を計算する際の控除額は、一般住宅なら1,200万円ですが、長期優良住宅は1,300万円になります。
【登録免許税】
登録免許税は登記をする際に納める税金のことで、所有権保存登記、所有権移転登記などがあります。長期優良住宅は税を計算する際の税率が軽減されます。
- 新築物件の所有権保存登記0.15%→0.1%
- 中古物件の所有権移転登記0.3%→マンション0.1%、戸建て0.2%
【固定資産税】
令和6年3月31までに家を新築した場合、税額が2分の1になるのは一般の住宅と同じですが、長期優良住宅は適用される期間が長くなります。
- 戸建て:5年間
- マンション等:7年間
一般住宅はそれぞれ3年と5年なので、2年長くなるということです。なお、都市計画税については減額がありません。
住宅ローンの金利が下がる
住宅ローンの「フラット35」という商品があります。低金利で借りられるほか、金利の変動がないので多くの人の利用されていますが、長期優良住宅になると「フラット35S」という商品を利用できます。
金利の引き下げ率は以下の通りです。
種類 | 引下げ期間 | 引下げ率 |
---|---|---|
フラット35S(ZEH) | 当初5年間 | 0.5% |
6年目〜10年目 | 0.25% | |
フラット35S(金利Aプラン) | 当初10年間 | 0.25% |
フラット35S(金利Bプラン) | 当初5年間 | 0.25% |
住宅ローン控除の借入限度額が増える
住宅ローン控除を受ける際の借入限度額は3,000万円です。長期優良住宅になるとその枠が増えます。
- 2023年末までの入居:5,000万円
- 2024年〜2025年の入居:4,500万円
できるなら2023年中に入居した方が良さそうです。
地震保険料が割引になる
家を新築したら、火災保険や地震保険に加入すると思います。長期優良住宅でも火災保険は割引されませんが、地震保険は割引があります。
- 耐震等級割引き:耐震等級3は50%、耐震等級2は30%の割引
- 免震建築物割引き:50%の割引
なお、これらの割引は重複して受けることができないため、どちらか選択となります。
快適に暮らすことができる
ここまで税金やローン控除などお金の話をしてきましたが、最も大きなメリットは快適に暮らせる空間を手に入れられるということでしょう。
耐震性に優れ、省エネ対策も万全です。住む人に合わせて間取りを変更できるなど、長く住み続けることを前提に作られているので、歳をとってからも、季節を問わず快適に暮らしていけるでしょう。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅ならではのデメリットもあります。ただし持ち家は長く住むことを前提に建築・購入するものですから、これからの長い人生を考えたら、それほど大きなデメリットではないかもしれません。
長期優良住宅の申請に手間とお金がかかる
長期優良住宅だと認められるには、着工する前に申請をして認定を受けなくてはなりません。建築予定の自治体に申請し、審査を受けなくてはなりませんが、その手続きに時間がかかります。
また、一般的には工務店などが申請手続きを行いますので、買主が面倒な書類集めなどをしなくても済みますが、その分手数料がかかります。行政への手続きで5〜6万円、もしハウスメーカーなどに手続きを依頼すると、10万円〜20万円ほどの費用が上乗せとなるでしょう。
さらに、工事が完了したらその旨を報告しなければならないため、色々と手続きが面倒です。
申請から認定まで、7日〜14日ほどですが、自治体によって差があります。不安な場合は事前に確認しておきましょう。
建築費が割高になる場合がある
長期優良住宅は耐震性や気密性が高い分、工事にも手間がかかります。その分、コストが高くなってしまう可能性があります。
ただし、すでに長期優良住宅の建築の実績が豊富にあり、コストを抑えながら建築できるハウスメーカーもあります。複数の業者に話を聞き、比較検討することが大切です。
まとめ
長期優良住宅とは、国が決めた基準をクリアした住宅のことです。耐震性や気密性に優れているだけでなく、周辺環境にも配慮し、ライフスタイルが変わってもずっと快適に住めるよう計画されています。認定を受けること、新築時の税金が減額されたり、住宅ローンの金利が優遇されたりと、さまざまなメリットがあります。
住宅を建築する前に申請しなくてはならず、申請にも費用がかかりますが、住宅ローン控除の借入額の優遇もあります。その費用を差し引いても得する部分の方が大きいでしょう。
何よりも、長きにわたって安心、安全に暮らせる住宅です。歳をとっても快適に暮らせる家を建てたいなら、長期優良住宅を検討してみてください。
無料でお送りいたします