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コラム

光が満ちる季節
2025.7.1

 帰り道、ふと空を見上げると、もう19時を過ぎているのにまだまだ明るさが残っていました。一年でいちばん日が長いとされる夏至を過ぎ、これから少しずつ、季節は本格的な夏へと向かっていきますね。日中の光はますます力強くなってきて、まぶしさに思わず目を細めたくなるような日も増えました。

けれどそんな強い光の中にも、ふとした美しさがあります。木々のすき間からこぼれる木漏れ日は、葉の影をゆらしながら、地面にきらきらと光を落としていました。 そのやわらかな明るさは、まぶしさとはまた違う、光のやさしさを教えてくれるようでした。

 夕方にかけては、その光がすこし落ち着いて、空に長くとどまってくれます。昼間のあわただしさが静まり、空気がやわらいでいく時間。そんなやさしい光の中の帰り道は、心をすこし整えてくれるような気がしました。

この時期の光は、空間の表情をぐっと豊かにしてくれます。午後の部屋に差し込む西日、長くのびる庭の影、障子に映る木々のゆらぎ。「光の景色」を感じることは、暮らしを感じることでもあるのだと、あらためて思いました。

 建築にとって、光はとても大切な要素です。
どの時間に、どんな光が、どの角度から入ってくるのか。それをどう受けとめるかで、家の空気や居心地は変わっていきます。

暑い日差しを遮る軒。
夏の夕暮れの光をリビングの奥まで届かせる窓。
外から中へ、そして中から外へ、視線も空気も自然につながるような設計。
そんな、光の移ろいとともに過ごす時間が、心を穏やかに整えてくれるように思います。

暮らしの中に、季節の気配が自然と入り込むような家。
その人がその人らしく過ごせる時間が、静かに流れる空間。
私たちは、そんな住まいをていねいにつくっていきたいと考えています。

光が満ちて、本格的な夏になったこの季節に暮らしの中の“ひかりのかたち”について、
少し立ち止まって想いを巡らせてみるのもいいものだなと思います。

Onoue

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