コラム
ふと気づくと、わたしの身の回りには「香り」がたくさんあります。
洗濯洗剤やシャンプー、ハンドソープ、ルームフレグランス、アロマオイルに、ハンドクリーム。
選ぶときにはいつも香りを大切にしていて、「いいにおい」と思えるものを手に取るようになりました。

なかでもアロマオイルは、わたしにとって癒しの存在です。
気分に合わせて香りを選び、ディフューザーからやわらかく広がっていく香りに包まれると、自然と気持ちが落ち着いていきます。
甘すぎない柑橘の香り。
しんとした静けさを感じさせるウッディな香り。
深く息を吸いたくなるようなハーブの香り。
そのどれもが、わたしの心と体をやさしく整えてくれる存在です。

香りには、記憶を呼び起こす力があるとよく言われます。
それは本当に不思議で、どこかで香ったにおいが、過去の思い出や誰かの顔をふいに浮かび上がらせてくれることがあります。
たとえば、雨が降ったあとの土のにおいで、小学生の頃の通学路を思い出したり。
金木犀の香りに、ひんやり肌寒くなる季節の空気感がよみがえったり。
香りはいつも、心の深い場所とそっとつながっているように思います。
だからこそ、暮らしのなかで「どんな香りに包まれていたいか」は、とても大切なことかもしれません。
家に帰ってきたとき、ふっと好きな香りが漂うだけで、その場所が「わたしにとっての安心できる場所」になってくれる。
香りには、そんなふうに空間の空気ごとやわらかくしてくれる力があるのだと思います。
毎日を慌ただしく過ごす中で、疲れがたまったり、気持ちがちょっとざわついたりすることもあると思います。
そんなとき、好きな香りに包まれるだけで、ほんの少し自分に戻れるような感覚になる。
わたしにとっては、それが大きな癒しのひとつです。
香りの好みは人それぞれ。
だからこそ、「これがいい」と決めつけるのではなく、自分にとって心地よいと思える香りを見つけていくことが大事なのかもしれません。
暮らしの中に、お気に入りの香りをひとつ置いてみる。
それだけで、いつもの空間が少しやわらかく、あたたかくなる気がします。

目に見えないけれど、確かにそこにある「香り」。
それは暮らしの風景のなかで、とても静かに、でも深く私たちの五感にはたらきかけてくれる存在です。
よければみなさんも、ご自身の「好きな香り」を見つけてみてください。
その香りが、いつか大切な思い出や、ほっとできる時間をやさしく支えてくれるかもしれません。
yanagi
