コラム
先日、「こどもの本の森 中之島」に訪問しました。

この文化施設は、建築家・安藤忠雄さんによって設計されました。建築に興味があって見に行ったのですが、想像以上に素敵な空間で、ただ建物を眺めるだけではない、豊かな時間を過ごすことができました。
「こどもの本の森 中之島」は、子どもたちに多様な本と出会ってもらい、無限の創造力や好奇心を育んでほしい――そんな想いでつくられた場所です。
自発的に本の中のことばや感情、アイデアに触れることで、世界には自分と違う人や暮らしがあることに気づく。そのきっかけになるような空間が、やさしく、丁寧に設計されていました。
とくに印象的だったのは、すべてが“子どもの目線”でつくられているということ。
本棚やテーブル、チェアの高さはもちろん、腰かけたときに見える窓の高さにまで、細やかな配慮が行き届いていました。
階段下にはスキップフロアのような小さなスペースがあり、そこでも本を読めるようになっています。
建物全体がやわらかくつながっていて、少し迷路のような遊び心も。
この空間に込められた「使い手に合わせて設計する」という建築の本質を感じることができました。
こどもたちに向けたやさしいまなざしに、私の心もあたたかくなりました。
建築を見に行っただけのつもりが、懐かしい絵本『小さいおうち』を見つけて、思わず読んでしまいました。この本は、おうちが主人公で、どんどん都会に囲まれていく変化を描いた物語です。子どもの頃に読んだときとは違い、今の仕事に携わるようになった今、大切な家や暮らしについて、より深く考えさせられる絵本でした。
気づけば夢中で読んでいたのですが、大人がふと立ち止まって、絵本を読むような時間も大切だなと感じました。
実際に施設のホームページにも、「大人にとっても居場所になる図書館」を目指しているという言葉がありました。
建築を楽しむもよし、本とじっくり向き合うもよし。
子どものような好奇心のままに、自由に過ごせるこの場所は、きっと多くの人の心をやわらかくほぐしてくれるはずです。
そして私自身、このように気の向くままに本を手に取り、自分のペースで過ごす時間があることの大切さを、あらためて感じました。
家族それぞれが「自分らしく過ごせる場所」や、「心をほどける時間」が自然と生まれるような空間を大切にしたいと思っています。
そこに暮らす人それぞれの“視線”や“過ごし方”に寄り添った空間を、ていねいに設計していきたい。
使う人の目線に立ち、その人らしい過ごし方が自然と生まれるような家。
暮らしの中でふと立ち止まり、何気ない時間を楽しむことができるような家。
そんな家を、これからもお客さまと一緒にかたちにしていけたらと思っています。
yanagi
