住宅ローン変動金利の落とし穴と対策!今さら聞けない基礎知識

家を建てるという夢を叶えるうえで、住宅ローンの選択は非常に重要なポイントです。住宅ローンには、大きく分けて「変動金利」と「固定金利」の2種類がありますが、どちらがいいのかわからない、そもそもどんな違いがあるのかよくわからないと迷っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、住宅ローンの変動金利について、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。金利の仕組みや、変動金利を選ぶべき人・選ばない方がいい人、金利上昇リスクへの対策など、住宅ローン選びで知っておきたい基礎知識についてわかりやすくまとめました。
住宅ローン選びで失敗したくない人は、ぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンの変動金利とは?その基本を押さえよう

住宅ローンの変動金利について、その仕組みと固定金利との違いをわかりやすく解説します。
変動金利の仕組み
住宅ローンの「変動金利」とは、金利が一定期間ごとに見直されるタイプのローンです。通常、半年に一度など、定期的に金利が変動します。この変動は、金融機関が設定した「基準金利」に基づいて決まります。
基準金利は、日本銀行の政策金利や市場の金利動向によって変わるため、金利が上昇することもあれば、下がることもあります。
変動金利と固定金利の違い
変動金利と固定金利の2つの主要な金利タイプについて、それぞれの特徴を理解することで、自分たちに合ったローンを選ぶことができます。
1.変動金利
先ほど説明したように、変動金利は金利が定期的に見直されるタイプです。初めは低い金利でスタートすることが多いため、短期間では支払い額が少なくて済むメリットがあります。しかし、金利が上昇した場合には、返済額が増加する可能性もあります。
2.固定金利
一方、固定金利は契約した時点で決まった金利が返済期間を通じて変更されません。たとえば、30年ローンで金利が決まれば、その金利で最後まで支払い続けます。金利が上がるリスクがないため、返済額が一定で安心して計画できます。しかし、変動金利に比べて初期の金利が高めに設定されることが多いため、最初は支払い額が少し大きくなる可能性があります。
住宅ローンを変動金利にするメリット

住宅ローンを検討する際、変動金利と固定金利のどちらを選ぶか迷う方も多いでしょう。変動金利を選ぶ大きなメリットは、金利が低い可能性が高いということです。
初期金利が低いため、返済額が少なくなる
変動金利の最大の魅力は、契約当初の金利が比較的低く設定されていることです。住宅ローンは長期間にわたって返済が続くため、最初に支払う金利が低いと、返済額も少なく済みます。
たとえば、固定金利で住宅ローンを組むと、契約当初から金利が高めに設定されることが一般的ですが、変動金利では初期の負担が軽くなり、家計をサポートしてくれる可能性が高いのです。
金利が下がると返済額が減る
変動金利は、基準金利の変動に合わせて金利が上下します。もし市場の金利が下がれば、住宅ローンの金利も下がり、毎月の返済額が減少することがあります。この柔軟さは、特に金利が低い時期にローンを組む場合に有利です。
返済期間が短いほどメリットが大きい
変動金利は、金利が定期的に見直されるため、金利上昇のリスクもありますが、短期間でローンを返済できるのであれば、そのリスクは比較的低くなります。たとえば、10年や15年など、短期間でローンを完済する計画がある場合は、変動金利のメリットを最大限に活用できます。
繰り上げ返済の効果が高い
変動金利の場合、金利が低い時期に繰り上げ返済を行うことで、返済額を大きく減らせる可能性があります。金利が低く安定している間に返済を進めることができれば、利息の支払いを最小限に抑えることが可能です。
また、変動金利は金利が見直されるタイミングで負担が増えることもありますが、繰り上げ返済を活用することで、金利の上昇を抑制し、長期的な利息負担を減らすことができます。
住宅ローンを変動金利にするデメリット
住宅ローンを検討する上で、変動金利のメリットだけでなく、デメリットについても理解しておくことが大切です。
金利が上昇すると返済額が増える
変動金利の最大のデメリットは、金利が変動するため、将来的に金利が上昇すると毎月の返済額が増えるリスクがあることです。たとえば、現在は低金利の時期でも、数年後に金利が上昇すると、その分月々の支払い額も増えていきます。この増加した返済額が家計に大きな負担となることが考えられます。
特に、子どもの教育費や生活費が増えるタイミングで金利が上がると、家計全体に与える影響はかなり大きくなります。金利が上昇した場合に対応できるだけの余裕があるかどうか、事前にしっかり検討することが必要です。
将来の金利動向が予測できない
変動金利のもう一つのデメリットは、将来の金利動向が予測できない点です。金融機関が定める基準金利は、市場の金利や日本銀行の政策金利に基づいて変動するため、短期的には金利が下がることもありますが、長期的に安定して低金利が続くかどうかはわかりません。
もし、今後金利が上昇する環境になると、予期せぬ高い返済額に直面する可能性があります。
利息負担が増える可能性がある
変動金利の住宅ローンは、金利の変動に応じて毎月の返済額が増減します。金利が上昇すると、返済額が増えるだけでなく、最終的に支払う利息の総額も増える可能性があります。長期間にわたる返済期間の途中で金利が上昇した場合、当初の予定よりも総支払額が大きくなるリスクがあります。
これは、返済期間が長ければ長いほど、金利上昇の影響を大きく受けるため、特に30年ローンなどの長期の住宅ローンを選んだ場合に顕著に現れるデメリットです。
精神的な負担が増す可能性がある
変動金利の住宅ローンは金利が変動するため、金利が上がると毎月の返済額も増えます。この変動する返済額は、家計に余裕がないときに特に精神的な負担を感じさせることがあります。安定した返済額を望む方にとっては、予測できない変動に対する不安やストレスが積み重なることがあります。
住宅ローンの変動金利が向いている人

メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、以下のような人には変動金利が向いています。
短期間での返済を目指す場合
【こんな人に向いている】
- 10年以内にローンを完済したい
- 早期の繰り上げ返済を計画している
変動金利は、金利が定期的に見直されるため、金利が低い時期に借り入れを行えば、支払額が少なくなり、早期返済がしやすくなります。そのため、短期間で返済を終わらせる予定の人にとって、変動金利は非常に有利な選択となります。
短期間で返済を終わらせることで、総支払額を抑えることができ、長期的な利息負担を避けることができます。
収入が安定している家庭
【こんな人に向いている】
- 安定した月収やボーナスがある
- 将来的な収入増が見込まれる
- 生活費に余裕があり、金利上昇に対応できる
収入が安定している家庭では、変動金利が向いている場合が多いです。金利が上昇した場合でも、安定した収入があれば、返済額が増えても対応できるからです。
変動金利は金利が上昇するリスクがあるため、金利が上がった場合に返済額が増えることがあります。しかし、収入が安定していれば、金利上昇による返済額の増加に対応できる余裕が生まれます。特に給与の昇給が見込まれる場合やボーナスが安定している家庭では、金利変動に左右されにくい状況を作ることができます。
市場の金利動向を見極めることができる
【こんな人に向いている】
- 経済や金利動向に関心がある
- 金利が低い時期にローンを組み、金利上昇時に対応策を考えられる
- 金利変動に関する情報を定期的にチェックできる
住宅ローンの変動金利は、市場金利や日本銀行の政策金利に大きく影響を受けます。市場の金利動向を見極めることができると感じる人には、変動金利が向いている可能性があります。金利が低い時期にローンを借り入れ、金利が上昇する前に返済を加速できるため、うまく金利の変動を利用することができます。
住宅ローンの変動金利を選ぶ際の注意点
住宅ローンで変動金利を選ぶ場合、金利見直しのタイミング、手数料や諸費用、そして銀行ごとの条件比較は、契約前にしっかり確認しておきたいポイントです。
金利見直しのタイミングに備える
変動金利型の住宅ローンでは、金利が定期的に見直されるため、そのタイミングをしっかり把握しておくことが重要です。金利見直しのタイミングによって、実際の返済額が大きく変動する可能性があるため、事前にその仕組みを理解しておく必要があります。
金利の見直しは半年に一度、または1年に一度行われる場合が多いです。このタイミングで、基準金利が上昇すれば、あなたの住宅ローンの金利も上がり、月々の返済額が増加します。特に、将来的な収入の増加が見込めない場合は、金利上昇に備えた資金計画を立てておくことが大切です。
手数料や諸費用の確認方法
住宅ローンには、金利以外にもさまざまな手数料や諸費用が発生します。特に変動金利型のローンでは、手数料や諸費用の内容を事前に確認することが重要です。これらの費用が想定以上に高いと、ローンの総支払額が大きくなることもあります。
【主な手数料や諸費用】
- 事務手数料:ローン契約時に発生する手数料で、金融機関によって異なる。
- 保証料:住宅ローンを保証会社に依頼する場合、保証料がかかることがあり、この保証料もローンの総額に加算される
- 登記費用や印紙税:ローン契約に伴う登記や契約書に貼る印紙税も費用として発生するもの。契約時に一度だけ支払う費用だが、その金額が予想以上に高い場合もある
銀行や金融機関から手数料や諸費用の詳細を記載した明細もらい、契約時にどれくらいの費用がかかるのか、またローン返済時に発生する可能性のある費用をしっかり確認します。さまざまな銀行や金融機関のローン商品を比較することで、手数料や諸費用を抑えたローン選びが可能です。
銀行ごとの条件比較
住宅ローンは、銀行ごとに金利や手数料、条件が異なります。複数の銀行や金融機関の条件を比較することが、より有利なローンを選ぶために不可欠です。特に、変動金利の住宅ローンは、金利だけでなく、付帯する条件やサービスも含めて比較することが重要です。
金利が低いだけでなく、返済方法、返済期間、金利見直しの頻度、借り入れ額の上限など、銀行ごとの条件をしっかり確認することが大切です。また、変動金利型の住宅ローンでは、契約後に金利がどのように変更されるか(例:金利上限の設定、引き上げの条件など)を確認しておくと安心です。
銀行によっては、住宅ローンを借り入れた際にキャッシュバックや手数料の割引など、特典や優遇措置が提供されることもあります。これらを活用すると、総支払額を抑えることができるため、複数の金融機関の特典も比較することが重要です。
変動金利の金利上昇リスクに備える方法

変動金利型の住宅ローンは、金利が変動するため、金利上昇による返済額の増加が大きなリスクとなります。このリスクに備えるために、貯蓄術と繰り上げ返済の活用法について詳しく解説します。
リスクヘッジのための貯蓄術
金利が上昇した場合に備えて、事前に貯蓄をしておくことは非常に有効な対策です。変動金利型のローンは、金利の上昇によって返済額が増えるため、その増加分をカバーできるように準備しておくことが大切です。
まず、専用の貯蓄口座を作り、緊急資金としての「生活防衛資金」を確保します。目安は、3ヶ月分~6ヶ月分の生活費です。急にお金が必要になった場合にすぐに取り出せるよう、流動性の高い預金を選びます。
同時に、将来的な金利上昇に備え、固定金利型の積立貯金も活用します。毎月少額ずつ積み立てることで、負担を軽減しながら金利上昇に備えることができます。
さらに、生活費の見直しも必要です。金利が上がる前に支出を減らし、余ったお金を貯蓄に回すことができれば、金利上昇に備えた資金を確保できます。家計簿をつけることで、どの費用が無駄遣いかが明確になり、効率よく貯蓄を増やすことができます。
繰り上げ返済の活用法
変動金利型の住宅ローンでは、金利が上昇した際に月々の返済額が増えるリスクを抑えるために、繰り上げ返済を活用することが有効です。繰り上げ返済を行うことで、ローンの元本が減り、金利上昇による支払い額の増加を抑えることができます。特に金利上昇が懸念される時期には、できるだけ元本を早く減らすことが大切です。
繰り上げ返済をするタイミングを見極めることも重要です。特に金利上昇の兆しが見られる場合には、早めに繰り上げ返済を行うことで、金利上昇前に元本を減らしておくことができます。
繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。それぞれの方法を理解し、自分の家計に最適な方法を選びましょう。
- 期間短縮型:返済期間を短縮することで返済終了の時期を早め、金利負担を減らす方法。月々の返済額はそのままで、元本の支払いを早める
- 返済額軽減型:毎月の返済額を減らすことで、負担を軽減する方法。金利上昇が懸念される場合には、元本を早期に減らし、金利負担を軽減することが可能
ボーナスや臨時収入が入った際に、まとまった金額を繰り上げ返済に回すことで、ローン残高を減らし、金利上昇の影響を抑えることができます。
まとめ
変動金利は、市場金利の変動に合わせて住宅ローンの金利も変動する仕組みです。固定金利に比べて金利が低いケースが多く、金利が下がれば返済額も減るのはメリットですが、金利が上昇すると返済額が増加するリスクがあります。
変動金利を選ぶ際は、金利上昇時の対策として、繰上げ返済や貯蓄対策もしっかりして、自身の経済状況やリスク許容度を考慮することが大切です。金利が低いというメリットを活かしたい一方で、金利上昇のリスクを最小限に抑えたい場合は、固定金利との比較検討も視野に入れましょう。
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