2025.9.29
土地探し

地盤が良い土地の見分け方|家を建てる前に知っておくべきポイント

マイホームを建てるとき、多くの人が間取りやデザインに目を向けますが、実は見落とされがちなのが「地盤」の強さです。地盤が弱い土地に家を建ててしまうと、不同(不等)沈下によるひび割れやドアの建て付け不良など、暮らしの安心を脅かすトラブルにつながりかねません。

そこで今回は、地盤が良い土地の見分け方や調べ方、万一弱かった場合の対処法、さらに相談先の選び方まで詳しく解説します。購入前にチェックしておくことで、余計な費用やリスクを回避し、安心して家づくりを進めることができるでしょう。

家を建てる前に地盤の良い土地であるかどうかを見極める重要性

地盤の良し悪しは、家を建てる上で最も重要な部分です。

丈夫な家は丈夫な土地があってこそ成り立つ

家を支える基礎は、土地の地盤がしっかりしていることを前提に成り立っています。どんなに耐震性の高い設計や高性能の建材を使っても、地盤が弱ければ安心して暮らすことはできません。

特に日本は地震や豪雨などの自然災害が多いため、地盤の強さが建物の寿命や安全性を大きく左右します。また、地盤の良い土地は将来の資産価値にも直結するため、家づくりの初期段階で必ず確認すべき重要ポイントです。

地盤が弱いとひび割れ、傾きなどのトラブルが起こりやすい

地盤が軟弱だと、家の重みを均等に支えられず「不同(不等)沈下」が発生しやすくなります。不同沈下は、建物の一部が傾くことで壁にひび割れが入ったり、ドアや窓がスムーズに開閉できなくなったりする原因になります。

さらに、地盤が緩い場所は水はけが悪く、雨の後に庭や敷地内に水が溜まりやすいのも特徴です。こうしたトラブルは快適な暮らしを損なうだけでなく、長期的には修繕費用の負担にもつながります。

地盤改良のコストもかかる

地盤が弱いと判断された場合、地盤改良工事や基礎の仕様変更が必要になります。表層改良や柱状改良、杭打ちなどの工事は数十万円から数百万円の追加費用となるケースも少なくありません。

その分、工期も延びる可能性があり、引き渡し時期に影響が出ることもあります。また、地盤改良を正しく行わなければ保証が受けられない場合もあるため、資金計画やスケジュールにおいても大きなリスク要因になります。

地盤の良い土地の見分け方・現地でできるチェック方法

それでは、どうすれば地盤の良い土地を探せるのか、その見分け方をご紹介します。

地形と地名から推測する(台地・扇状地/川・沼由来の地名)

地盤の強さは、その土地の成り立ちと密接に関係しています。たとえば、台地や扇状地といった自然に形成された高台は比較的良好な地盤が多い傾向にあります。

一方、

など水に由来する地名の地域は、かつて水辺だった可能性が高く、地盤が軟弱なケースも少なくありません。地名から土地の歴史を読み取ることは、手軽にできるチェック方法のひとつです。

造成履歴の有無と高低差(擁壁・法面・段差の確認)

近年開発された分譲地などは、盛土や切土によって造成されていることがあります。盛土部分は沈下のリスクが高く、特に厚く盛られている場合は注意が必要です。

敷地に擁壁や法面があるか、道路や隣地との段差が極端でないかも確認しておきましょう。造成地であっても、検査済証や造成履歴が明らかになっていれば安心材料になります。

周囲の建物の状態(クラック・傾き・外構の沈下痕)

土地そのものの状態が分かりにくい場合は、周囲の建物を観察するのも有効です。外壁に大きなクラックが入っていたり、建物がわずかに傾いていたりする場合、その地域の地盤が弱いサインかもしれません。

また、ブロック塀や駐車場、庭の舗装部分に沈下の痕跡が見られるかどうかもチェックしておくとよいでしょう。

水はけ・側溝・敷地勾配(雨後の水たまり・苔・湿気)

雨が降った後に敷地内に水たまりができやすい場所は、水はけが悪く地盤も軟弱な可能性があります。側溝の水の流れ方や、敷地全体の勾配が適切かどうかも重要なポイントです。

地面に苔が生えていたり、湿気がこもりやすい環境は、地盤が水を含みやすいことを示すサインといえます。

土質・植生・井戸や湧水跡の有無

地盤の状態は土質にも表れます。砂や礫が多い土地は水はけがよく、比較的安定した地盤とされますが、粘土質の土は水を含みやすく沈下しやすい傾向があります。

また、敷地内や周辺に井戸や湧水跡がある場合は、地下水位が高く地盤が緩い可能性もあります。植生もヒントになり、湿地性の植物が繁茂している土地は注意が必要です。

地盤が良い土地の調べ方・机上調査→現地→専門調査の流れ

地盤が良いか悪いか、見ただけでわからない場合はもう少し詳しく調べてみましょう。

公的マップの確認(ハザード・液状化・治水地形分類図)

まずは自治体や国土交通省が公開している公的な地図を確認しましょう。ハザードマップでは、洪水や土砂災害のリスクを把握できます。

さらに、液状化の可能性が示されている地域は、地震時に地盤が大きく揺らぎやすいため注意が必要です。治水地形分類図を見れば、過去に川や湿地だった場所を把握でき、地盤リスクを事前に把握できます。

地盤情報サイト・ボーリング柱状図の参照

国土地理院や地盤情報を公開している専門サイトでは、過去のボーリング調査データを閲覧できます。ボーリング柱状図は、地中の土層構造を示すもので、砂層や粘土層、地下水位の位置などが確認可能です。

購入を検討している土地周辺のデータを調べることで、その地域の地盤傾向を理解できるでしょう。

開発行為・造成検査済証・宅地履歴の確認

新しく造成された宅地であれば、開発許可や造成検査済証の有無を確認することが重要です。特に盛土が多い土地では、造成方法や地盤改良の有無が将来の安全性に直結します。

自治体の都市計画課や開発担当部署に問い合わせれば、過去の造成履歴を調べられることもあります。

自治体・不動産会社へのヒアリング項目

机上調査だけでは不十分な場合、直接自治体や不動産会社に聞いてみるのも有効です。たとえば、

  • 過去に地盤沈下や液状化の事例はあったか
  • 造成工事の記録は残っているか

といった質問は、安心材料になります。信頼できる業者であれば、地盤調査の履歴や報告書を提示してもらえるケースもあります。

地盤調査の種類(SWS試験・ボーリング・PS検層)

実際に建築を進める段階では、専門業者による地盤調査が必須です。戸建て住宅で一般的なのは「スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)」で、地耐力を測定して基礎仕様を決めます。

より正確な調査には、ボーリング調査や地震波を利用するPS検層なども行われ、土質や地下水位まで詳しく把握できます。

地盤が弱い時の対処法

気に入った土地を見つけたとしても、地盤が弱ければすぐに家を建てることができません。地盤改良が必要となります。

地盤改良工事の種類

地盤が弱いと判定された場合、まず検討されるのが地盤改良工事です。最も一般的なのは表層改良工法で、軟弱な土に固化材を混ぜて強度を高めます。比較的浅い軟弱層に有効です。

次に多いのが柱状改良工法で、直径数十センチの円柱状に固化材を注入し、支持層まで安定させます。さらに深い支持層が必要な場合は鋼管杭を打ち込む工法が用いられます。

特殊なケースでは薬液注入により地中の土を固めることもあり、土地の状態に応じて最適な方法が選ばれます。

改良コスト相場と工期の目安

地盤改良には数十万円から数百万円の費用がかかる場合があります。表層改良なら50〜100万円程度、柱状改良では100〜200万円程度、鋼管杭工法になるとさらに高額になるケースもあります。

工期は工法によって異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合は数日から1週間程度の延長で済むことが多いです。資金計画を立てる際には、予備費として地盤改良費を見込んでおくと安心です。

建物軽量化など設計での工夫

地盤改良だけでなく、設計の工夫によっても弱い地盤への対処が可能です。たとえば、基礎を布基礎ではなくベタ基礎にすることで不同沈下のリスクを減らせます。建物をできるだけ軽量化することも有効で、鉄筋コンクリートより木造を選ぶなどの選択肢もあるでしょう。

また、水はけを良くするために排水計画を見直し、雨水が敷地内に滞らないようにすることも重要です。

地盤保証と住宅性能表示の活用

住宅を建てる際には、地盤保証制度を利用することも大切です。一般的に10年間の保証が付き、万一不同沈下が発生した場合でも修繕費用が補償されます。

また、住宅性能表示制度を利用すれば、地盤や基礎の安全性について客観的な評価を受けられます。保証や評価制度を活用することで、安心して家づくりを進めることができます。

相談先の選び方

地盤調査をして欲しい、地盤改良が必要となった時には、以下のような相談先があります。

地盤調査会社・工務店・建築士の役割の違い

地盤の状態を正しく把握するには、まず専門の地盤調査会社が行う試験結果が基礎となります。その調査データをもとに、工務店やハウスメーカーが最適な基礎仕様や地盤改良工法を提案します。

さらに、建築士が設計全体の観点から構造の安全性を確認し、必要に応じて排水計画や建物配置を調整します。このように、それぞれの専門家が異なる役割を担っており、連携して進めることで安心できる家づくりが実現します。

見積もりを比較し工法の妥当性や保証範囲をチェック

地盤改良工事の見積もりを依頼する際は、単純に金額だけで判断するのは危険です。同じ土地でも工法の選択によって費用は大きく変わるため、なぜその工法を選んでいるのか根拠を確認することが重要です。

また、保証内容や対象範囲も会社によって異なります。不同沈下が起きた場合にどこまで補償されるのか、保証期間はどれくらいかを必ずチェックしましょう。複数社の見積もりを比較し、工法の妥当性と保証の手厚さを総合的に判断することが、後悔しない土地選びにつながります。

まとめ

家づくりにおいて、地盤の良し悪しは見落とされがちなポイントですが、実際には建物の安全性や資産価値を左右する非常に重要な要素です。現地での簡単なチェックに加え、公的マップや地盤情報の確認、専門業者による調査を組み合わせることで、リスクを減らすことができます。

もし地盤が弱いと判定された場合でも、改良工事や設計上の工夫によって対応は可能です。その際には、調査会社・工務店・建築士の役割を理解し、見積もり内容や保証範囲をしっかり比較することが大切です。

イッカデザインの家づくりがわかる資料を
無料でお送りいたします
ページTOP