新築時に地盤調査が必要な理由と調査の種類や費用について解説
家を新築するときは、地盤調査が必須です。その土地がどの程度の重さや揺れに耐えうるのか、土地の丈夫さを確認してからでないと、安心して家を建てられないからです。
しかし、家を新築する経験は人生で何度もあることではないため、地盤調査についても知らない人がほとんどでしょう。そこで今回は、これから地盤調査を依頼しようと思っている方に、地盤調査を行う必要性や検査の種類などについて、わかりやすく解説します。
地盤調査を依頼する先は、実績豊富で信頼できる会社を選ばなくてはなりません。会社の選び方や費用の目安などもご紹介しますので、依頼先を決めるときの参考にしてください。
新築時の地盤調査とは?調査が必要な理由
地盤調査とは、読んで字の如く、地盤の状態がどうなっているのかを確認する調査のことです。
土地が丈夫かどうかを調べる調査のこと
土地は、見た目だけでは中の状態がわかりません。地盤が弱かった場合、小さな地震でも地盤沈下が起こったり、家が傾いてしまったりする可能性がありますので、安全に家を建築するなら地盤調査が欠かせません。
- 家の重みに耐えられるのか
- 地盤沈下に抵抗できるだけの力を持っているのか
などを調査します。
調査の結果、地盤が弱く、そのままでは家を建てられないとなった場合、地盤改良が必要となります。
新築するときは必ず地盤調査を行わなくてはならない
2000年に建築基準法が改正され、建物を建てるときは、構造耐力上、安全な基盤にしなくてはならないとされました(建築基準法施行令第38条)。法令文に「地盤調査を行わなくてはならない」と書いてあるわけではありませんが、安全な地盤、地盤沈下や変形に備えなさいとされているので、実質、義務化されたのと同じです。
また、「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」により、新築住宅を建ててから10年以内に瑕疵が見つかった場合、建築業者や販売業者が責任を追わなくてはならないとされました。もし地盤に問題があって家に問題が生じた場合には、消費者が保護されます。
業者はその瑕疵の責任をとって補償をしなくてはなりません。建築業者や販売業者はそのための保険加入または保証金の供託が義務付けられていますが、保険加入の条件に地盤調査があるため、「品確法」によっても間接的に地盤調査が義務付けられていることになります。
新築時の地盤調査の方法
新築時の地盤調査は主に4つの方法があります。それぞれ解説します
戸建て建設で行うスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
住宅を建てる敷地の四隅と真ん中の合計5箇所について調査を行うのが一般的です。深いところまでの調査はできませんが、半日もあれば調査が終わること、費用も他の方法と比べるとリーズナブルなのが大きなメリットです。
主にマンション建設で行うボーリング試験
ボーリング調査とは深いところまで穴を掘り土の強度を測る調査で、主にマンションなど大規模な住宅を建てる時に使われる方法です。
土を採取して土質まで調べますので土地の状態を詳しく知ることができる反面、SWS試験と比べると費用も時間もかかります。正確な調査結果の報告をもらうまで数日かかることもあるでしょう。
土地の沈み具合を測定する平板載荷試験
平板載荷試験(へいばんさいかしけん)とは、土地の上に載荷板をおき、その上から垂直に荷重をかけます。沈み具合を測定し、土地の強さを判定します。
直接地盤に重みをかけて判定することから、とても信頼性の高い試験です。騒音なども小さくご近所にも迷惑をかけにくいです。一方で、深いところまでの調査は難しい方法です。
表面波探査試験は地面を揺らす試験
人工的に地面を揺らし、小さな地震のような状態にすることで、地盤の強さを表す支持力と、土地の沈下特性を測る試験法です。新築時のほか、地盤改良後に土地の強さを測るのにも適しています。
土地に穴を開けないので、アスファルトで覆われた土地でも試験が可能です。
地盤調査の費用の目安と所要時間
新築一戸建てを建築する際に利用されるのは主にスウェーデン式サウンディング試験、もしくはボーリング調査です。
- SWS試験:5万円〜10万円(半日)
- ボーリング調査:15万円〜30万円(1日〜数日)
- 平板載荷試験:8万円〜15万円(1日)
- 表面波探査試験:8万円〜15万円(1日)
所要時間はあくまでも試験そのものの時間です。調査結果をまとめて報告書を作成する時間を含めますと、1週間〜10日ほどかかるでしょう。
地盤調査を依頼する前に知っておきたいこと
家を新築する時に地盤調査は必須です。しかし、経験したことのない人がほとんどですので、何をどうすればわからないとお困りの方も多いでしょう。
ここでは、調査を依頼する時に注意して欲しいポイントや業者の選び方についてまとめました。
どのような家を建てるかを決めないと地盤調査ができない
家を建てる時、地盤調査をしてから家を建てますが、どのような家にするのか、土地のどの部分に建てるのかを決めておかないと、地盤調査ができません。
たとえば、SWS試験では、建物を建てる予定の場所の四隅と中央、5箇所で地盤調査をおこないます。ですので、建物の形状や大きさが決まらないと、どこを調査すれば良いかわからないということです。
大体の部分で行えば良いのではないかと思われるかもしれませんが、1つの土地、全ての部分が同じような性質を持っているわけではありません。一部は強いけれど、一部は弱いということもあります。
適当に調査をした部分の地盤が強かったとしても、実際に建てる場所の地盤が弱ければ調査の意味がなくなってしまいます。ですので、どの部分に家を建てるのかを決めてから出ないと、調査はできないのです。
地盤調査の費用を負担するのは買主が多い
土地の売主と買主、どちらが地盤調査の費用を負担すべきかと法律で明記されているわけではありません。土地を売る側が地盤調査をしてから売るということはほとんどないので、買主が費用を負担して地盤調査を行うことになります。
売主が個人でも不動産会社でも同じで、たとえ不動産会社が売るとしても、家を新築するときはどのような家を建てたいかを決めるのは買主なので、買主の費用負担で地盤調査をします。
地盤調査の結果、土地の改良工事が必要だとなった場合の工事費も買主負担です。
地盤調査の専門家がいる会社に調査を依頼することが大事
地盤調査をどこに依頼するのかも、重要なポイントです。地盤調査に関して、資格がなければできない仕事はないのですが、関連する資格を持っている人が在籍している会社の方が安心です。
- 地質調査技士
- 地盤品質判定士
- 宅地地盤調査主任
などの資格があります。依頼する時には、どのような資格を持った専門家がいるのかも調べてみてください。
これまでの地盤調査の実績を見て選ぶ
地盤調査にはいくつか種類がありました。建てる住宅の種類や規模によって適した検査方法が違ってきます。新築一戸建てを建てたいなら、ボーリング調査を行う必要はなく、SWS検査で十分です。それぞれの会社に得意な分野がありますから、自分が建てたい建物に合わせて正確な調査ができる会社を選びましょう。
そのためには、これまでの実績をよく比較することです。検査を行ってきた件数も重要ですし、トラブルが起きた時の対応などもよく聞いて、適切に対応してくれる会社がおすすめです。
相見積もりをとって費用を比較する
業者を決めるときは、必ず相見積もりをとりましょう。1社だけでは、提示された費用が適正なのかどうかがわかりません。複数の業者の費用とその内訳をよく比較して、工事の内容に見合った価格なのかを検討した上で依頼先を決めましょう。
地盤調査報告書は必ず作成してもらおう
地盤調査報告書とは調査した内容について詳細に記載されたレポートであり、地盤調査を行ったという証明書としても活用できる書類です。この書類を発行してもらえるかどうか、事前に必ず確認してください。
万が一、調査をした後に何か起きたとき、どのような調査を行なったのかという証拠になります。また、その土地を売却する際にも、この証明書があれば調査済みで問題のない土地であることが証明できるので、売却しやすくなります。
まとめ
家を新築するときは必ず地盤調査を行わなくてはなりません。建物を建てられるだけの丈夫な基盤を作らなくてはならないと建築基準法でも定められていますので、土地の調査をせずに家を新築することはできないのです。
地盤調査にはいくつか種類があり、建物の規模によって適した検査法が違います。どの方法が良いのかも含めて、地盤調査の実績が豊富な業者に相談しながら検査を進めていきましょう。業者を決める際には必ず相見積もりを取り、調査費用が適正かどうかも比較してください。地盤調査報告書を作成してくれる、安心・安全な業者を選びましょう。
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