コラム
先日、KYO AMAHAREさんを訪れました。
130年の京町屋を活かしたギャラリーの奥には、蔵の中に茶房「居雨」があります。
ギャラリーには何度か足を運んだことはありましたが、茶房を訪れるのは今回が初めて。
とても興味深い時間を過ごすことができました。
茶房へ向かうまでには、美しく手入れされた庭を通ります。
灯籠や紅葉、石の配置など、どの角度から眺めても美しく見えるよう丁寧に計画されており、一歩進むごとに景色の表情が変わります。
茶房へ向かう時間そのものが、日常から少しずつ心を切り替えていくようなひとときでした。
蔵の中へ入ると、思っていた以上に暗く、最初は少し驚きました。
しかし、その暗さにも徐々に目が慣れてくると、不思議と心まで落ち着いていくのを感じました。
この茶房のコンセプトは、雨を待ち、雨宿りをするための部屋。中央には水たまりをイメージしたテーブルがあり、そこへ静かに落ちるしずくを眺めながら、雨音に耳を澄ませる時間が流れます。
室内からは庭の景色が切り取られるように眺められ、まるで一枚の絵を見ているかのよう。時間や天気によって表情を変える庭をゆっくり眺めながら過ごす時間は、とても贅沢でした。

しばらくすると、お茶菓子やお茶を使ったお酒が、作家さんの器とともに運ばれてきます。その日の季節や趣向に合わせた器が使われており、一品ごとに違った表情を楽しめるのも魅力のひとつです。
この日は、透明感のある梅の寒天をいただきました。
涼やかな見た目とやさしい味わいからも季節を感じることができ、器との組み合わせも美しく、思わず見入ってしまいました。

中でも特に印象に残ったのは、ほうじ茶のハイボールです。
目の前で茶葉を燻してから仕上げられ、香ばしい香りがふわりと空間全体に広がります。
その香りに包まれながら一口味わうと、視覚や味覚だけでなく、嗅覚までも満たされるような感覚になりました。
今回の体験を通して、心地よい空間とは、視覚だけではなく五感すべてに響く空間なのだと改めて感じました。
しずくが落ちる音や雨音、かすかに流れるBGM、小鳥のさえずりは「聴覚」に。
季節を映したお菓子や作家さんの器、茶器、窓越しに切り取られた庭の景色は「視覚」に。ほうじ茶を燻した香ばしい香りは「嗅覚」に。
そして、お茶やお菓子の味わい、器の質感は「味覚」や「触覚」に心地よく響いてきます。
住まいもまた、見た目の美しさだけではなく、光や音、香り、素材の質感など、五感を通して心地よさを感じられる場所であることが大切だと思います。

私たちも、お客様が日々の暮らしの中でほっと一息つけるような、五感にやさしく寄り添う住まいをご提案できるよう、一つひとつの空間づくりを大切にしていきたいと思います。
eshima
